「怒りを手放す修行」はもういらない

 

みなさん、こんにちは。ahlan 和 sahlanのかしま 慶子です。今日は「怒りとの付き合い方」についてお話ししようと思います。

怒りという感情は、わたしたちの生活において避けがたい存在です。ただスピリチュアルな世界では「怒りを手放せば幸せになれる」といわれることがよくあります。けれど、怒りを無理に抑え込んだり、なかったことにしようとすることが必ずしも幸せへの近道ではありません。今回は怒りがわたしたちにとってどんな意味があり、どのように向き合っていくべきかについて考えていこうと思います。

 

1. 「怒りを手放せば幸せになれる」という考えは本当か?

スピリチュアルな世界では、怒りは「低いエネルギー」や「ネガティブな感情」として扱われることが多く、そのため「怒りを手放す」「怒りを解放する」といった表現がよくみられます。多くのスピリチュアルな教えでは、愛や平和、調和を目指します。怒りはその幸せな世界を破壊する最も危険な感情として扱われます。怒りを抑えることが出来る人ほど魂のレベルが高く、「高次元な存在」として賞賛されますが、本当に怒りを手放せる人間がこの世に存在するでしょうか?人間として肉体を持つ限り完全に怒りを手放すことは不可能です。起こり得ないことを目指して、自らの至らなさにガッカリしてしまうよりも、生きている限り怒りは存在するものであって、その扱い方さえ身につけることが出来れば良いのだと理解した方が気持ちが楽になるはずです。

 

2. 怒りやイライラが起こるメカニズム

怒りやイライラは、身体と心の反応です。心理学的には怒りはしばしば「期待」と「現実」が食い違ったときに生じるといわれています。自分の期待通りに物事が進まなかったり、他者から不公平だと感じる行動をされたりしたとき、わたしたちは不快感を覚えそれを怒りへと発展させていきます。例えば、何か出来事が起こった際には、まずはじめに「一次感情」(悲しみ、苦しさ、寂しさ、心配など)がわきあがり、個人の価値観というフィルターを通して、その後「二次感情」(怒りやイライラ)へと負の感情を熟成させてしまうのです。

 

3. 怒りは自己防衛に必須の本能

怒りは単なる「ネガティブな感情」ではなく、わたしたちが自分自身や大切なものを守るために必要な本能的な反応なのです。心理学者カール・ロジャーズは、「怒りは自己防衛のために存在する」といっています。自分が不当な扱いを受けたり、尊厳を傷つけられたとき、怒りという感情が生まれます。

この感情を無視したり抑圧したりすることは、自己防衛の力を弱めることになり、逆にストレスや不満が蓄積して健康に悪影響を及ぼすことがあります。怒りを感じること自体は悪いことではなく、むしろ自分の「限界」や「価値観」を理解する手助けになります。

 

4. 現在の怒りが過去のトラウマから誘発されていないかを見分ける方法

現在の怒りが過去のトラウマから引き起こされているかどうかを見分けるためには、まず「過剰反応」があるかどうかを注意深く観察しましょう。例えば、ある出来事に対して過剰に激怒する場合、それが過去の未解決の問題から来ている可能性があります。

現在の怒りなのか過去のトラウマからやってきている怒りかを見極める方法として

①この怒りは本当に今の出来事によるものか?

②自分が感じている怒りが、過去の傷やトラウマを再現していないか?

③怒りの根底にある恐れや痛みは何か?

④これまでに似たようなパターンを繰り返していなか?

⑤出来事に対して怒りが大きすぎないか?

を客観的に観察してみるといいかもしれません。

 

5. 怒りを感じるとどのような身体反応が起こるか

怒りが生じると以下のような身体的な反応が強く現れます。

①心拍数の増加:怒りがピークに達すると、アドレナリンが分泌され心拍数が速くなります。

②呼吸の速さ:怒りが強いとき、呼吸が浅く速くなることがあります。

③筋肉の緊張:怒りを感じると、体の筋肉が緊張し、特に肩や首、背中にその緊張が表れます。

これらの身体的なサインが発生すると脳は「怒りを感じている」と判断します。しかしながら、人間の脳はかなり適当な働きをする器官らしく、目の前にある状況によってどう感情を判断のかが異なるそうです。(実は感情が先ではなく、身体反応が先にあって、その後表層意識にあがってくる感情が生み出されているのです!)不快な状況が目の前にある時には上記のような身体反応を「怒り」として判断し、目の前に好みの人物がいる場合には性的な興奮としてとらえ「恋に落ちた」と判断するそうです。これが俗にいう「吊り橋効果」といわれるものです。

 

6. 怒りに振り回されないための方法

強い怒りに飲み込まれそうになった時には、5で述べた身体反応と逆の状態になるようにすればおさめることが可能です。

①呼吸法:呼吸が速くなっていると感じたら、その逆のゆったりとした深い呼吸をしてみましょう。深呼吸や腹式呼吸を行い、身体のリラックスを促します。吸う息よりも吐く息を長くすることによって副交感神経が優位になります。これにより、心拍数や緊張を落ち着けることができます。

②感情を認識する:怒りを感じたとき、まずは「自分が今怒っている」と認識することが大切です。感情に名前をつけることで脳が安心します。これは「ラベリング」と呼ばれる手法で、複雑な状況をあえてシンプルに分類することによって一時的に感情を落ち着けることが出来ます。

③思考パターンの見直し:自分の思考パターン(価値観を含む)が感情を引き起こしていることを意識してください。出来事はあくまで感情が起こる「きっかけ」なだけであって、感情が起こる原因そのものではありません。出来事をどのように認知し、どのような解釈をするのかによって生まれてくる感情は異なります。同じ体験をしても、ある人にとっては最悪の出来事でも別の人にとっては成長のチャンスとなることがあります。自らの価値観によって人は物事を判断します。自分のどのような思考癖が苦しみを生み出しているのかを掘り下げてみると良いでしょう。

怒りは自分の内面を知るための「ヒント」となります。何に対して怒りを感じるのか、どんな状況や言動が自分をイライラさせるのかを振り返ることで、自分が大切にしている価値観や信念が見えてきます。例えば、ある人の不誠実な行動に怒りを感じるとき、それは「誠実さ」や「信頼」を自分が重視している証拠です。このように、怒りを通して自分の価値観を再確認することによって人間関係を円滑にする工夫がしやすくなります。また誰かを怒らせてしまった際には、相手が大切にしているものは何かを知るきっかけとなり相互理解を深めることが出来るでしょう。

 

7.まとめ

怒りは決して悪い感情ではありません。むしろ、自分を守るための大切な感情です。怒りは不快な状況や不正に対する自然な反応であり、自己防衛の手段でもあります。怒りが問題になるのは適切な形で表現されていなかったり、過剰になりすぎる場合のみです。

例えば誰かに傷つけられたと感じる時、その感情を相手にぶつけてしまうことは問題解決にはつながりません。相手を傷つけることで一時的な感情の解消が得られるかもしれませんが、長い目で見ると自分自身もさらに傷つく結果になることが多いです。 大切なのは自分の感情を理解し、適切に表現する方法を見つけることです。他人を傷つけることなく、自分の気持ちを大切にしながら前に進むことができるとより良い人間関係を築くことが出来るでしょう。

怒りと上手に向き合い、自己理解を深め、感情を安全に表現することが、より良い人間関係や自己成長に繋がります。怒りをただ抑え込むのではなく、しっかりと感じ、理解し、解放することによって自己の扱い方が上手になり、人生の荒波を乗り越えていける強さを大きく育ててくれるはずです。

自分の中に怒りが生まれることを恐れるのではなく、自分自身の感情の一つとして大切に扱うようにしてくださいね。

 

以上です。今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

次回は「引き寄せの法則」が絶対にうまくいく方法についてお話したいと思います。

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